実は私は高校時代、生物が大の苦手でした。人体の内部を考えることが恐怖だったし、当時の先生もずうっと一人語りをされる方だったので、いつも思考をストップさせておりました。というわけで授業はさっぱりわからず、テストの前に、ただひたすら用語を頭に叩き込むだけというケシカラン生徒なのでした。
ですので、この講座を受講して、ミトコンドリアとTCA回路の話が出てきたとき、うひゃあとびびりました。高校時代の生物が頭によぎって嫌な予感がしたのです。ところが、この話がめっちゃおもろく、わかりやすく、聴いているうちに、心地よい興奮とともに一気に生化学への関心が芽生えたのでした。40年以上の時を経て、あのとき私にとって猛毒だった恐怖の「生物の授業」が、無毒化され栄養になって取り込まれたのです。まさにこれぞ酸素を無毒化するミトコンドリア!うん。勉強を始めるのに遅すぎるということはないのでありますっ。
では、惣兵衛さんの講座を私のノートで振り返ってみたいと思います。
酸素というと正義の味方のように思ってしまいますが、そもそも酸素は猛毒なのです。鉄が酸化して錆びるように、酸素は、ほかの物質との反応性が高いため、物質の性質を変えてしまうことがあるわけですね。この猛毒の酸素を無毒化するのが、あのミトコンドリアです。時は20億年前、それまで存在していた単細胞生物(原核生物)に酸素を無毒化するミトコンドリアが押しかけ女房として入り込んで、真核生物が生まれます。そして10億年前に、何兆もの細胞が分業しあう多細胞生物が誕生します。それは自分の中に海を取り込んだ生命体ともいえるのです。こうして多細胞化された生物は、酸素を水と二酸化炭素に変換しながらエネルギーを生み出し進化していくのですね。生命における最大のジャンプ、生き残り戦略の最終兵器がこのような協業なのですね。
クエン酸回路(TCA回路)とは、カラダに取り込まれた栄養素(脂質・糖・タンパク質)に、ヘモグロビンちゃんが運ぶ酸素と、玄米などに含まれるビタミンB群が応援部隊として参加(酸化じゃないよ)して、水と二酸化炭素を排出しながらエネルギーを生み出していく仕組みです。
エネルギーの単位はATPといいますね(生物で習ったような気がする)。
絵に描くとこんなカンジです(左図)。
でもこれだと、生物の教科書みたいになっちゃうので、ミトコンドリア号というマシンの絵に変えてみました。
TCPサイクルをぐるぐる回すことで、エネルギーが生み出されるというイメージです。こんなふうに絵を描きながらまとめていくと特徴を捉えることができるし、モチベーションもあがるのではないかと思います。
ちなみに、最近惣兵衛さんから聞いた話では、厳密にいうと、最終的にエネルギーを発生させるのはクエン酸回路の次にある電子伝達系なのだそうです。クエン酸回路の役割は小腸から吸収した栄養素を代謝して「水素イオン(H+)」と「電子」を取り出すことであり、この取り出された「水素イオン(H+)」と「電子」を電子伝達系へリレーして、エネルギー(有酸素系ATP36分子)を生産しているということなのだそうです。
いずれ、わたしたちの60兆の細胞(最近は37兆説がよく採用されるとのこと)の中に300~400ものミトコンドリアがあって、それが、酸素と食べ物を分解してわたしたちの「氣」を生み出しているんですね。
ミトコンドリアえらいっ!とまとめておきましょう。
次回は趣向を変えて、この講座のスタイルを「教える技術」という鳥の眼によって眺めてみたいと思います。